2012年3月15日木曜日

玄海原発1号機(老朽化問題) 関係記事

(2012年3月7日  読売新聞)
老朽化懸念の玄海1号機、保安院「圧力容器は健全」
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news-spe/20101001-862625/news/20120315-OYS1T00488.htm

老朽化が懸念される九州電力玄海原子力発電所1号機(佐賀県玄海町)について、経済産業省原子力安全・保安院は14日、専門家の意見聴取会(12 人)を開いた。「原子炉圧力容器の健全性は確保されている」との保安院案に対し、井野博満・東大名誉教授は「結論を出すのは性急だ」と批判。他に意見を述 べた委員には容認派が目立った。保安院は今月末に結論を出す方針。
玄海1号機は1975年に運転を開始。鋼鉄製の圧力容器は核分裂による中性子を浴びて次第にもろくなる。九電の検査では、もろさの指標になる「脆性(ぜいせい)遷移温度」が2009年に予測を約20度上回る98度となった。この温度が高いほど劣化が進んでいるとされる。
保安院は、予測を超えた理由を「異常劣化ではなく、予測式の精度が低い可能性がある」としている。
(2012年3月15日  読売新聞)
 佐賀新聞
2011年07月01日更新
玄海原発1号機 想定以上に劣化進行か

http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1968174.article.html
   運転開始から36年が過ぎた九州電力玄海原子力発電所(佐賀県東松浦郡玄海町)1号機の原子炉圧力容器の劣化を判断する指標となる「脆性(ぜいせい)遷 移温度」が大幅に上昇、大学の研究者らは異常として問題視し、最悪のケースとして容器破損の可能性にも言及している。九電や国は「安全性に問題ない」と反 論。研究者は検証のためのデータ開示を求めるが、九電は「業界規程に基づいて適正に検査しており、検証しても結果は同じ。40年目の高経年化評価時にデー タを公表する」としている。

鋼鉄製の原子炉圧力容器は中性子を浴びるともろくなる。電力各社は老朽化を把握するため容器内に同じ材質の試験片を置いて取り出し、緊急冷却した場合などに容器が壊れやすくなる温度の境目となる脆性遷移温度を測っている。劣化が進むほど温度は高くなる。

九電によると、運転開始時の1975年の脆性遷移温度は零下16度。これまで4回取り出した試験片の温度は、35度(76年)、37度(80年)、56度(93年)と推移し、2009年は98度に大幅上昇した。

九電は「試験片は圧力容器よりも多く中性子を浴びる場所に置き、数十年後の圧力容器の劣化状況を予測するためのもの。98度は2060年ごろの数値に当 たる」と説明。「圧力容器の現在の脆性遷移温度の推定は80度で、60年間運転した場合でも91度」とし、日本電気協会が定める新設原子炉の業界基準93 度を下回っていることを強調する。26日の県民説明会でこの問題を質問された経産省原子力安全・保安院も同様の説明をして「容器が壊れるような状況にはな い」と答えた。

ただ、こうした見解に研究者は疑問を示す。九州大応用力学研究所の渡邉英雄准教授(照射材料工学)は「上昇値は本来の予測値から大きくずれ、誤差の範囲 を超えている。原子レベルで想定外の異常が生じている可能性がある」と指摘。井野博満東大名誉教授(金属材料学)は中性子の影響を受けやすい不純物が含ま れるなど材質が均一でない可能性を指摘したうえで、「緊急冷却で急激に温度を下げた場合、圧力容器が壊れる可能性がある」とする。

研究者は試験片や検査データが開示されていないため詳しい検証ができないとし、電力各社に情報開示を求める意見も強いが、九電は「今後も安全な数値で推移すると判断しているので、すぐにデータを提示する必要はない」としている。

【関連記事】

「【解説】玄海1号機の劣化問題 危険性の指標上昇」
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1968466.article.html
 佐賀新聞
 【解説】玄海1号機の劣化問題 危険性の指標上昇
 2011年07月02日更新
 http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1968466.article.html

■脆性遷移(ぜいせい・せんい)温度の上昇が問題

運転開始から36年がたった九州電力玄海原発1号機の原子炉圧力容器の劣化問題。劣化を判断する指標となる脆性遷移温度が予測値を大幅に超えたことを、 研究者らは一様に問題視し、原因を究明するために九電の情報開示の必要性を指摘する。4人の研究者の見解を紹介し、脆性遷移温度について説明する。

関連記事「玄海原発1号機 想定以上に劣化進行か」(佐賀新聞)
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1968174.article.html

【脆性(ぜいせい)遷移温度とは?】

鋼鉄製の原子炉圧力容器は核燃料が分裂する際に放出される中性子を浴びて次第に劣化する。鋼鉄はそもそも高温では柔らかくて粘り強いが、低温だと硬く割れやすくなる。脆性遷移温度はその境目の温度で、劣化するほど上昇し、この温度を下回るともろくなる。

原発事故で圧力容器を冷やす必要が出た場合、原子炉に水をかけて冷やす緊急冷却装置(ECCS)が作動する。脆性遷移温度が高いと、急激な温度差による圧力に耐えられず破損する危険性が指摘されている。

玄海1号機の圧力容器は高さ約11・5メートル、鋼鉄の厚さは約18センチ。脆性遷移温度を確認するための試験片は数十個ずつ六つのカプセルに入れ、圧力容器の内壁と原子炉の間に置かれている。

脆性遷移温度の数値は運転管理にも使う。そのため、カプセルは容器の壁につけるのではなく、あえて壁よりも10センチ燃料に近い場所に置いて中性子の照射量を増やす。試験片の数値から圧力容器が今後、どの程度もろくなるか予測するという。

試験片は数年から十数年ごとに1カプセルずつ取り出し、原子炉製造会社の研究施設で検査する。それぞれ違う温度で温めて衝撃を加え、もろく壊れた温度を 脆性遷移温度として推定する。試験片の脆性遷移温度を元に、日本電気協会の予測式から今後の温度推移や容器本体の脆性遷移温度を割り出す。

九電が1993年に検査した時点では、60年運転した場合の圧力容器の脆性遷移温度を72度と予測していたが、今回の検査結果を受け91度に上方修正した。九電は「業界基準の93度以下で問題ない」とする。

■劣化、現状の危険性について識者4人の分析

運転開始から36年がたった九州電力玄海原発1号機の原子炉圧力容器の劣化問題。劣化を判断する指標となる脆性(ぜいせい)遷移温度が予測値を大幅に超 えたことを、研究者らは一様に問題視し、原因を究明するために九電の情報開示の必要性を指摘する。4人の研究者の見解を紹介する。

【渡邉英雄・九州大応用力学研究所(照射材料工学)】 

試験片の脆性遷移温度は過去の実測値に基づく予測から大きくずれており、誤差の範囲で済むレベルではない。詳細な検査データはわれわれにも公表されず、 中性子照射の影響が研究者間で100%解明できているわけでない。国内外の専門家に試験片を開示するなどして学問的議論に広げなければ、地域の安心と安全 には寄与しない。

容器本体は構造物としての荷重や過去の地震による影響なども受けており、どんなメカニズムで上昇したのか、原子レベルでの詳細な解明が必要だ。

【井野博満・東大名誉教授(金属材料学)】

精度が上がった最新の予測式で脆性遷移温度を推定すれば70度程度になるはずで、実測値は全く異なる。想定以上の劣化と考えるのが自然だ。衝撃試験で試験片がどのように壊れたのかなどの検査結果公表が不可欠だ。

圧力容器の材質にばらつきがあり、一部が想定外にもろくなっている可能性もある。事故などで緊急冷却装置が作動して一気に水が注入された場合、運が悪け れば温度差による応力に耐えきれず破損する。原発管理を運に任せることは許されず、98度を容器本体の数値と見て対策を考えるべき。

【長谷川雅幸・東北大名誉教授(原子炉材料学)】

運転期間が長くなれば脆性遷移温度の上昇カーブは緩やかになるのが一般的で、急上昇は非常に不可解だ。直ちに危険な状況ではないが、原因を確かめなければ安全とは言えない。

国内の電力会社が研究機関に試験片を提供することはなく、ベルギーの原発から取り寄せた日本製の試験片で研究しているのが現状だ。原子炉の本来の運転想 定は30年。高経年化評価して運転を続けておりそもそもリスクがある。情報を公開しない電力会社の体質をあらためなければ、国民の信頼は得られない。

【義家敏正・京都大原子炉実験所教授(原子力材料学)】

圧力容器の厚さは20センチ近くあり、重量も約500トンある。仮に緊急冷却装置の水が入ったとしても破損は考えにくい。ただ98度はあまりに唐突。容器の材質に何が起きているのか、詳しく調べる必要がある。

電力会社の試験片の検査は言わば内輪でやっている状況。原子炉の安全性は研究者のだれもが追求すべきと感じている。破壊検査した試験片の破断面はどう なっているのか、中性子照射の影響を受けやすい銅やリンなどの不純物はどの程度含まれているのか、資料を示してほしい。


 佐賀新聞
 2011年07月18日更新
 「玄海1号機の劣化試験片は分析を」井野氏が講演
 http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1994256.article.html


玄海原発(佐賀県東松浦郡玄海町)1号機の劣化問題などを考えるシンポジウムが17日、唐津市文化体育館であった。金属材料に詳しい井野博満東大名誉教 授が劣化判断の指標となる試験片の「脆性遷移(ぜいせいせんい)温度」の大幅上昇を問題視し、大学などの研究機関でも試験片を分析する必要性を訴えた。

1号機の試験片の脆性遷移温度は56度(1993年)から98度(2009年)に急上昇した。研究者が問題視したことに対し、九電は衝撃に対する試験片 の粘り強さなど新たなデータを公表したが、井野氏は「このデータでは急上昇の原因は分からず安全性は保証できない」とした。

急上昇の原因として「容器の鋼鉄に不純物が多く含まれ、想像以上に劣化が進んでいる可能性がある。中性子を浴びて組織構造がどう変質しているのか。ミクロの解析が不可欠」とし、「原因が解明されるまで運転を停止すべき」と訴えた。

シンポは市民団体などによる実行委員会が企画。18日午後6時半から佐賀市のアバンセでも開かれる。実行委は20日、試験片の公的機関への提供と、1号機の運転停止などを求める要求書を九電に提出する。



 佐賀新聞
 2012年01月24日更新
 九電、玄海1号機のデータ開示へ 専門家が疑問示す
 http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2121538.article.html

 経済産業省原子力安全・保安院の23日の専門家会議で、老朽化に伴う原子炉圧力容器の壊れやすさが主要議題となった玄海原発1号機(佐賀県玄海町) について、九州電力は同容器内に設置した試験片の追加検査の結果、「容器の健全性は問題がない」と強調した。だが、一部有識者から解析結果に疑問が示さ れ、調査データの徹底開示を迫られる見通しとなった。

玄海1号機は1975年に運転を開始。九電は試験片を定期的に取り出し、原子炉圧力容器の鋼鉄が急激に冷やされた時に割れやすくなる境界の温度「脆性遷 移(ぜいせいせんい)温度」を調査してきた。この温度は93年に56度だったが、2009年には理論上85年間運転した状態に相当する98度に達した。

九電は09年に取り出した試験片の追加調査を電力中央研究所に依頼。昨年、組織や化学成分を調べた結果、試験片自体に異常はなかったという。

23日の専門家会議では、九州大応用力学研究所の渡辺英雄准教授が「地元で広がっている不安や不審を解消するために議論すべきだ。データ公表の仕方が不明瞭だったのが不安の原因だ」と指摘。

九電原子力発電本部の豊嶋直幸部長は「公表が遅れ気味だったことを反省する。前向きに開示していきたい」と応じた。

同社は、33年までに実施予定だった試験片の次回調査について、25年ごろに前倒しする考えだ。


 佐賀新聞
 2012年01月24日更新
 予測と実際値に大きな誤差 原発劣化の予測法見直しへ
 http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2121535.article.html


玄海原発1号機(東松浦郡玄海町)で問題となっている中性子照射による原子炉の脆化(劣化)問題を検討する経産省原子力安全・保安院の専門家会議が23 日、同省であった。九州電力が示した試験片の解析データなどを基に議論、劣化の予測方法に疑問の声があり、見直す必要があるとの考えでほぼ一致した。保安 院は年度内に数回、会合を開き、原子炉の健全性を含めて見解を示す。

玄海1号機は温度や圧力変化への原子炉圧力容器の耐性を示す指標となる「脆性遷移(ぜいせいせんい)温度」が、原子炉から試験片を取り出して行った2009年の検査で想定を20度上回る98度となり、健全性が懸念されている。

この日は、九電が試験片について銅の含有量など化学成分の分析データや圧力、熱に対する耐性試験の結果などを示し、「60年運転を想定しても健全性に問 題はない」と説明した。委員からは「脆性遷移温度は予測値から大きく乖離(かいり)しており、予測方法か解析方法に問題があるのではないか」「残りの試験 片のうち、早く1個を取り出して検査すべき」「これまで取り出した試験片すべてで成分分析を」などの意見が出た。

1号機は運転開始当初、原子炉に6個の試験片を入れ、これまでに4個を取り出している。九電は次回検査について「09年に取り出したばかりで、中性子照 射量はほとんど変わらない。規定に基づき、25年ごろに取り出す計画」とし、1、2回目に取り出した試験片は「昭和51、55年ごろの話であり、当時は組 織解析の技術もなく、今は保管していない」と説明した。

劣化の予測手法については運転年数が長く、中性子の蓄積照射量が多い原発ほど予測値からのズレが大きいことから、今後、高経年化した原発の実測データが順次、出てくることを踏まえて検討していく必要性が指摘された。

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