2012年4月26日木曜日

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産経新聞特集(1)~(7)
(1)電源喪失 安全とコストを天秤
MSN Japan産経ニュース 2011.4.9 08:28 (1/2ページ)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110409/dst11040908290008-n1.htm



 東日本大震災から1カ月がたとうとする今も、「安全」どころか「安定」すら取り戻せない東 京電力福島第1原子力発電所。津波による電源喪失、冷却機能の停止、燃料溶融、水素爆発…。次々に襲う「想定外」の事態に対処できず、判断ミスも重なり、 危機が連鎖した。なぜ危機を想定できなかったのか。どこかで連鎖を食い止められなかったのか。「天災」なのか、それとも「人災」なのか。7つの場面を検証 した。
 「最大規模の津波を考慮してきた。想定を大きく上回るものだった」
 東電の原子力担当の武藤栄副社長は、3月25日 の会見で弁明に追われた。想定した津波は最大5・7メートル。実際の津波は約14メートルに達し、海面から5・5メートルの堤防をのみ込み、同約10メー トルの敷地に押し寄せ、海側の発電用タービン建屋に侵入し、地下にある非常用ディーゼル発電機が冠水。1~3号機ですべての電源が失われた。
 東電幹部は「津波の敷地への上陸は想定していなかった」と悔やむが、予見する機会はあった。




産経新聞特集(1)~(7)
(2)炉心溶融 「可能性ゼロ」現実に
MSN Japan産経ニュース 2011.4.9 08:33
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110409/dst11040908340009-n1.htm


 
 電源喪失により、1~3号機では、安定的に原子炉に水を注入できなくなった。燃料棒内部の 放射性物質(放射能)が放出する「崩壊熱」で水が蒸発し、水面上に露出。熱に強いジルコニウム合金製の「被覆管」が溶ける1200度以上に達し、日本原発 事故史上最悪の「炉心溶融」が始まった。
 「小さい確率の事態が全部実現すれば、炉心溶融につながることは論理的には考え得る」。昨年5月の衆院経済産業委員会での経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長の答弁だ。
 「多重防護の考え方で設計されており、安全性は確保されている」とも語り、可能性はほぼゼロに近いと否定してみせた炉心溶融は、1年もたたずに現実となった。
 原発は「5重の壁」を安全性の大前提としている。燃料のウランを陶器のように焼き固めたペレットに加工し、被覆管で覆い、圧力容器に納め、格納容器で守り、建屋が囲む。
 原発安全3原則のうち「止める」は機能したが、電源喪失により「冷やす」機能が失われたことで、「閉じ込める」機能もすべて破られ、放射能汚染が広がった。
 原子力安全委員会は平成4年5月に電源喪失などの「シビアアクシデント」に対応できる備えを政府や電力会社に要請した。だが、「数時間後には復旧できるという考え方に基づく設計」(保安院)が見直されることはなかった。
 「電源喪失で何が起きるかを想定すれば、とるべき対策があったはずだ」。宮健三東京大名誉教授は“想定外”は言い訳にならないと断じた。


産経新聞特集(1)~(7)
(3)ベント作業 10時間ロスで致命傷
MSN Japan産経ニュース 2011.4.9 08:34
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110409/dst11040908340010-n1.htm


 容器や格納容器が、損傷する恐れが高まった。1号機の格納容器内では一時、設計想定の5気圧の倍近い9・4気圧を計測した。
 圧力を下げるには、原子炉内部の放射性物質を含む蒸気を外部に逃す「ベント(排気)」と呼ばれる措置が必要になる。しかし、その作業は、大きく遅れた。
  「半径3キロ以内の避難や3~10キロの屋内退避を実施しているので住民の安全は保たれる」。海江田万里経済産業相がベントを表明したのは、12日午前3 時05分。しかし、東電が作業に入れたのは、午前10時17分。放出が行われたのは午後2時半で、表明から10時間以上もたっていた。
 遅れの最大の理由は、12日朝の菅直人首相の視察ではなく、電源喪失だった。東電は手作業によるベント開放に手間取ったのだ。この間に炉心溶融が進み、圧力や高熱で圧力容器や格納容器が損傷し、「閉じ込め」機能が失われた可能性がある。
  実際、2号機では14日に圧力上昇を受けベントで蒸気を放出したが、海水注入の失敗も重なり、2度にわたって燃料棒が全面露出。15日早朝に爆発が起き た。直後に格納容器につながる圧力抑制室の圧力が急低下。損傷し亀裂や穴が開き、そこから特に濃度の高い汚染水が漏出しているとみられている。
 「炉心溶融後にベントを行えば、放射性物質の漏出が増える。もっと早い段階で行うのが定石だ」。大阪大の宮崎慶次名誉教授は、着手も含めた対応の遅れを指摘した。


産経新聞特集(1)~(7)
(4)海水注入 「廃炉」回避 決断鈍る?
MSN Japan産経ニュース 2011.4.9 08:35
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110409/dst11040908350011-n1.htm

東電がベント作業にまごつく間に、1号機の圧力容器内の水位は低下を続けた。12日午前9時半までに燃料棒の上部55センチが露出し、午前11時20分に90センチ、午後0時35分には170センチに達した。
電源がなくても原子炉の余熱でつくった蒸気を利用して原子炉に注水する非常用冷却システムを使い、6千リットルの真水を注入できていたため、より多くの量を確保できる海水注入には踏み切らなかった。
しかし、午後2時12分、施設内で放射性物質のセシウムを検出。本来は燃料棒に閉じ込められ、「核実験か原発事故の後ぐらいしか見つからない物質」(保安 院)の漏出で、炉心溶融が確実となる。午後3時36分には1号機で水素爆発が発生。その30分後に海水注入を発表し、午後8時20分に実行に移した。
海水を注入すると、塩などの不純物が内部に付着して使えなくなり、「廃炉」の可能性が高まる。原発は1基3千億円規模に上る建設費に加え、地元同意などで 莫大(ばくだい)なコストがかかる。だが、建設すれば、「減価償却が進むにつれ、安定的に利益を生み出してくれる」(業界関係者)。
武藤副社長は3月21日の会見で、「淡水の確保が十分でなくなったときは、比較的早い段階で海水を入れることを念頭に入れてきた」と、注入の躊躇(ちゅうちょ)を否定する。
だが、内藤正則エネルギー総合工学研究所部長は今も疑念が拭えない。
「海水を入れたら何千億円も損をするという発想があったのではないか。経営のことを考えて、元通りにしようという発想では非常事態には対応できない」


産経新聞特集(1)~(7)
(5)燃料プール 炉を優先、放置続ける
MSN Japan産経ニュース 2011.4.9 08:36
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110409/dst11040908360012-n1.htm

15日午前6時、4号機で爆発音とともに火の手があがり、建屋の壁が崩れた。4号機は震災当時、定期点検のため停止中で、原子炉内に燃料棒もなかった。安全と思われていた4号機の爆発は、「核燃料貯蔵プール」の存在をクローズアップさせた。
「事故発生の初期段階から、米国から燃料プールは大丈夫なのかとの指摘があり、現場にもそう連絡していた」。原子力委員会の鈴木達治郎委員長代理は、こう明かす。
プールには高熱を持つ使用済み核燃料が大量にある。その数は同原発全体で1万本超(1755トン)。防護壁は放射線を遮る水とコンクリートの建屋しかない。4号機には昨年11月の検査で原子炉から出したばかりの特に温度が高い燃料があることも、東電は分かっていた。
だが、「水があるうちは大丈夫」と、1~3号機の原子炉の冷却を優先し、何ら手を打たなかった。
4号機では、燃料の熱でプールの水が蒸発して水面から露出、水素が発生し爆発したとみられている。燃料が一部溶融し、放射性物質が外部に直接漏出したとみ る専門家もおり、原子炉の冷却よりもプールへの放水が、「今は最優先」(保安院)と、位置づけが逆転する。放水には自衛隊ヘリや消防車、東京消防庁ハイ パーレスキュー隊の特殊車両などを総動員。放水中は、外部電源の復旧作業が中断された。
「事故発生直後から気をつけていれば、もっと早く収束できたはずだ」。鈴木氏は、東電のプール放置が復旧を大きく遅らせたと指摘した。


産経新聞特集(1)~(7)
(6)汚染水 3人被曝し存在判明
MSN Japan産経ニュース 2011.4.9 08:37
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110409/dst11040908370013-n1.htm

「見たくもないような数字だ」。保安院の西山英彦審議官は3月27日の会見後に、2号機タービン建屋地下にたまった汚染水が放つ放射線量に顔をしかめた。
線量計の針はかざした瞬間に最大値の1時間当たり1千ミリシーベルトを振り切った。今回の事故に限り引き上げられた緊急時作業員の年間被曝(ひばく)線量 限度の250ミリシーベルト(通常は100ミリシーベルト)の4倍。放射能濃度は、通常運転時の原子炉内の水の約10万倍に達した。
24日に足が水につかる状態で作業をしていた3人が被曝し、初めて汚染水の存在が判明した。汚染水の量は1~3号機だけで推計6万トン。事故発生当時、失われたことで危機を招いた水が今は復旧の最大の障害となっている。
汚染水の水源は、「原子炉に注入を続けている冷却水」(東電)だ。圧力容器や格納容器の損傷で漏出。「トレンチ」と呼ばれる建屋外の配管トンネルにもたまり、2号機では海に直接流出した。
貯水場所を確保するための「玉突き排水」の結果、低濃度の汚染水を海に放出する前代未聞の事態に追い込まれる“泥縄”で、回収のめどはたっていない。
タービン建屋地下には、ポンプや配電盤など冷却機能の復旧に欠かせない設備があるが、「作業員も容易には近づけない」(東電)。
「原発事故で漏水の有無をチェックするのは基本。2週間もたってから汚染水の存在が明らかになったことは理解できない。早く気づいていれば、早く手を打てた」。宇根崎博信・京都大原子炉実験所教授は、汚染水を予見できなかったことを問題視している。


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